FAのニュースを読んでいると、「Bランク」「人的補償」「プロテクト」と、聞き慣れない言葉が次々に出てきますよね。
まずFAランクは、元の球団での年俸順位をもとに、移籍したときの補償を分ける区分です。
年俸は選手本人が受け取るお金で、人的補償は移籍先の球団から元の球団へ別の選手が移る仕組みなので、この3つを分けるとぐっと読みやすくなります。

専門用語は、その場でかみ砕いて説明しますね。
誰が誰にお金を払うのか、選手がどう動くのかを、仮の球団と金額で見ていきましょう。
この記事は日本のプロ野球(NPB)を対象に、2026年11月7日に確認した資料をもとにしています。
2026年オフのルールを基本に説明し、2027年オフからの変更は後半で分けて紹介しますね。
FAランク・年俸・人的補償の違いをまず整理
最初は、「選手本人の話」と「球団同士の話」を分けてみましょう。
同じ移籍ニュースに出てきても、年俸とFAの補償金では、受け取る相手が違うんです。
| FA | 一定の条件を満たした選手が、権利を使って他球団とも契約について話し合える制度 |
|---|---|
| FAランク | 元の球団での年俸順位をもとに分ける、A・B・Cの区分 |
| 年俸 | 球団が選手本人に支払う、その年の契約に基づく報酬 |
| 人的補償 | FA選手を迎えた球団から、元の球団へ別の選手が移る補償 |
| 金銭補償 | FA選手を迎えた球団が、元の球団へ支払う補償金 |
| 旧球団 | FA選手が移籍する前に所属していた球団 |
| 獲得球団 | FA選手を新たに迎える球団 |
たとえば、ある選手が青チームから赤チームへFA移籍したとします。
この場合、旧球団は青チーム、獲得球団は赤チームで、移籍後の契約に基づく年俸を受け取るのは選手本人です。
補償が必要な条件なら、赤チームから青チームへ、補償金や別の選手が動きます。
※青チーム・赤チームは、仕組みを説明するための架空の球団です。
FAランクは年俸で決まる?A・B・Cの基準
2026年オフのFAランクは、旧球団の外国人選手を除いた年俸順位で分かれます。
「12球団全体で何位か」ではなく、その選手がいた球団の中で何位かを見るんですね。
| ランク | 旧球団での年俸順位(外国人選手を除く) |
|---|---|
| Aランク | 1〜3位 |
| Bランク | 4〜10位 |
| Cランク | 11位以下 |
ここでいうランクは、打撃や守備のうまさにつける点数ではありません。
Cランクでも活躍している選手はいますし、けがで出場が少ない年でも、年俸順位によってはAランクになります。
また、「年俸1億円以上ならA」という全国共通の金額の線引きもありません。
仮に同じ年俸1億円でも、ある球団では3位、別の球団では7位なら、前者はA、後者はBになるわけです。
同額の選手がいる場合は、出場登録日数の総数が多い選手を下位とし、そこも同じなら年齢が上の選手を下位にする決まりがあります。
ニュースで「推定Bランク」「Cランクとみられる」と書かれていたら、正式に確認された情報と、推定年俸などからの見立てを分けて読んでくださいね。
年俸と金銭補償は誰のお金?1億円の例で確認
年俸と金銭補償が混ざりやすいのは、補償金の計算にも「年俸」が使われるからです。
でも、年俸の何%かを計算するからといって、選手の年俸から差し引くわけではありません。
たとえば初めてFA権を使うBランクの選手で、計算のもとになる旧年俸が1億円、年齢による補償免除の対象でもない場合を考えてみましょう。
旧球団が金銭補償だけを選べば、1億円の60%、つまり6,000万円を獲得球団が旧球団へ支払います。
この6,000万円を受け取るのは選手ではなく、旧球団です。
また、人的補償を選ぶ場合は、旧球団が別の選手1人と、旧年俸の40%にあたる4,000万円を受け取ります。
どちらの場合も、FA選手本人が自分の財布から補償金を出す仕組みではないんですね。
※金額は説明用の仮定で、実際の選手の契約ではありません。
「金銭トレードのお金も、選手が受け取るの?」という疑問は、金銭トレードとは?移籍金と選手の年俸の違いを解説でも紹介しています。
人的補償とは?プロテクト28人の意味と選び方
人的補償は、FA選手を失った球団が、獲得球団の対象選手から1人を選んで迎える仕組みです。
ただし、相手の選手を誰でも自由に選べるわけではありません。
獲得球団は、人的補償の対象にしない選手を28人まで指定でき、これを「プロテクト」と呼びます。
プロテクトは、ここでは「人的補償で選ばれないように守る」と考えると分かりやすいですね。
- FA選手を迎えた球団が、プロテクトする28人を決める。
- 元の球団は、補償の対象になる選手の名簿を確認する。
- 人的補償を選ぶ場合、元の球団がその中から1人を選ぶ。
外国人選手や直近のドラフトで獲得した選手は、この28人とは別に対象から除かれます。
規約上の対象は獲得球団が保有する支配下選手で、「支配下選手」は球団が支配下選手名簿に登録している選手のことなので、育成選手とは分けて見てくださいね。
また、Bランクの選手が移籍したら、必ず人的補償が発生するとも限りません。
元の球団が「選手+補償金」を選ぶか、「補償金だけ」を選ぶかによって変わります。
FA選手本人と人的補償で移る選手が相談して、交換相手を決める仕組みではないんです。
出典:日刊スポーツ|人的補償のルール(2026年1月8日)。
FAランク別の人的補償と金銭補償はいくら?
2026年オフに初めてFA権を使って国内の他球団へ移る場合、基本の補償は次のようになります。
補償の方法を選ぶのは、選手を送り出した旧球団です。
「選手1人だけ」ではなく「選手1人+補償金」になる選択肢がある点も、押さえておきたいですね。
| FAランク | 人的補償を選ぶ場合 | 金銭だけを選ぶ場合 |
|---|---|---|
| A | 選手1人+旧年俸の50% | 旧年俸の80% |
| B | 選手1人+旧年俸の40% | 旧年俸の60% |
| C | 補償なし | 補償なし |
ここでの旧年俸は、FAで移籍する前の球団での年俸を指します。
移籍先との新しい契約で年俸が変わっても、その新年俸を使って上の割合を計算するわけではありません。
なお、2回目以降にFA権を使う「再FA」では割合が下がり、Aは選手1人+25%または金銭だけ40%、Bは選手1人+20%または金銭だけ30%になります。
Cランクは、選手による補償も金銭による補償もありません。
Cランクなら補償なし?2026年オフの年齢の例外も確認
CランクのFA選手を迎える場合、元の球団への人的補償と金銭補償は不要です。
ただ、「補償なし」と「選手の年俸もかからない」は別なので、そこは混ぜないようにしてくださいね。
さらに2026年オフからは、A・Bランクでも補償がいらない年齢の条件が加わりました。
対象になるのは、FA権を使った翌年の4月1日時点で35歳以上の選手です。
2026年オフのFAなら、見る日は2027年4月1日になるので、FA宣言をした当日の年齢だけでは判断できません。
たとえば、その日に35歳なら年齢条件に当てはまりますが、34歳なら当てはまらない、という見方です。
A・Bランクというだけで補償が必要と決めず、年齢の条件も一緒に確認しましょう。
出典:日刊スポーツ|2026年10月30日の補償見直し報道。
人的補償はいつなくなる?2027年オフからの変更
「人的補償がなくなる」というニュースを見たら、いつのFAに適用される話かを確認してみてください。
選手会は2026年10月30日、人的補償を撤廃し、ドラフト指名権による新しい補償を導入することで、NPBと合意したと発表しています。
日刊スポーツによると、人的補償をなくすのは2027年・2028年オフのFAで、2026年オフにはまだ人的補償の仕組みが残ります。
| 項目 | 2026年オフ | 2027・2028年オフ |
|---|---|---|
| 人的補償 | 条件に応じて残る | 廃止 |
| Aランク | 年俸順位1〜3位 | 年俸順位1〜3位 |
| Bランク | 年俸順位4〜10位 | 年俸順位4〜8位 |
| Cランク | 年俸順位11位以下 | 年俸順位9位以下 |
新制度の「ドラフト指名権」は、新人選手を指名する順番の権利です。
今いる選手を人的補償で移す代わりに、翌年のドラフトで新人を指名する枠を旧球団へ譲る、という形になります。
報道では、Aランクは翌年の2巡目、Bランクは3巡目の指名権が対象で、旧球団が指名権か金銭補償を選ぶ仕組みとされています。
ただし、Bランクのうち年俸順位8位は、指名権の譲渡はなく、旧年俸の60%の金銭補償だけです。
2029年以降については運用を見て再検討するため、2027・2028年の仕組みがそのままずっと続くと決まったわけではありません。
FAニュースの専門用語はどう読めばいい?
最後に、「FA取得」「FA宣言」「宣言残留」の違いも見ておきましょう。
FA権を取っただけで、すぐに移籍が決まるわけではありません。
| FA権取得 | 条件を満たし、FA権を使える資格を得たこと |
|---|---|
| FA宣言・権利行使 | その権利を使う手続きを取ること |
| 交渉 | 年俸や契約条件などについて球団と話し合うこと |
| 宣言残留 | FA権を使ったうえで、元の球団と契約して残ること |
| 契約合意 | 選手と球団が契約について合意したこと |
| プロテクト漏れ | 人的補償の対象から守る28人に入っていないこと |
「宣言した=退団確定」ではなく、権利を使ってから元の球団と契約する道もあるんですね。
プロテクト漏れも、その選手が必ず移籍するという意味ではなく、実際に人的補償として選ばれるかは別です。
ニュースを読んだときは、「何年オフの制度?」「どのランク?」「年齢による免除は?」「今は交渉のどの段階?」と分けてみてください。
一度に全部覚えなくても、まずは「年俸は選手へ、補償金は元の球団へ」と押さえるだけで、お金の話がかなり追いやすくなりますよ。
出典:日本プロ野球選手会|FA規約 第4条・第6条・第10条。
参考にしたサイト
言葉の意味や補償の基本は選手会の公開資料を確認し、2026年の変更点は合意発表と発表当日の報道を合わせて読んでいます。
- 日本プロ野球選手会|フリーエージェント規約(公開版2009年度)
- 日本プロ野球選手会|移籍の活性化
- 日本プロ野球選手会|統一契約書様式
- 日本プロ野球選手会|FA補償制度の見直し(2026年10月30日)
- 日刊スポーツ|FA補償制度の見直し(2026年10月30日)
- 日刊スポーツ|人的補償のルール(2026年1月8日)

この記事を書いた人
管理人:山邊 俊太
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